冬は保湿剤!① 〜どれがいい?

seikatu
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乾燥肌対策には保湿剤の使用が一番ですね。
皮膚科でも乾燥肌には必ず保湿剤が処方されます。

とはいえ

  • 乾燥するのは主に冬だけ
  • わざわざ休みを取って病院に行くほどひどくない

そんな時には「とりあえず保湿クリーム使ってみようかな」と考える方も多いのではないでしょうか。
折しもドラッグストアの特設コーナーにはハンドクリームや保湿剤が所狭しと並べられています。
でも、ずらりと並んだ商品を前にこんな声も聞こえてきそう。

たくさんあるわね〜。
同じメーカーでも何種類もあるし、
迷っちゃうわ。

尿素に、アミノ酸、ヒアルロン、
いろいろな成分があるのね。
どれを使ったらいいの?

そこで今回は保湿剤の種類とその役割について改めて理解し、有効成分や使用感などの特徴についても勉強してみたいと思います。そのうえで、どうやって選んだらよいのか、まずは一般的な考え方についてお伝えします。

保湿剤いろいろ

保湿剤はその「保湿の仕方」で2種類に分けられる

保湿剤には主にモイスチャライザーエモリエントの2種類があります。
この2つの違いは保湿のメカニズムにあります。

https://www.nittomedic.co.jp/hada-shuuki/article/24?utm_source=perplexity&utm_source=perplexity

1.水分を与える「モイスチャライザー」

吸水性・保水性成分を含み、角質層に直接水分を補給し保持します。
保湿効果が高く、日常的な乾燥対策に向いています。
角層内に水分を補いたい場合はこのモイスチャライザーが適しています。

例:ヒアルロン酸、セラミド、尿素、ヘパリン類似物質、水溶性コラーゲン、アミノ酸

なお、表皮の構造及び肌の水分量をコントロールする3つの物質(皮脂・セラミド・NMF)についてはこちらの記事も参照して下さい。

2.水分を守る「エモリエント」

油性成分で皮膚表面に膜を作り、水分の蒸発を防ぎます。
肌の保護や刺激対策に向いています。
角層の水分は十分にあって、皮脂膜のみが失われている場合に用います。

例:ワセリン、オリーブ油、ツバキ油、スクワラン、

病院でよく処方される主な保湿外用薬について

下の表は主な保湿剤とその長所・短所をまとめたものです。
一段目の油脂性軟膏と五段目のその他の軟膏はエモリエントに、二段目・三段目・四段目はモイスチャライザーに当たると考えられますね。
ドラッグストアで手に入る各種の保湿剤にも下の成分が使われていますので参考になるかと思います。

https://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/kankyo_igaku/kayumi/cope.html?utm_source=perplexity

市販の保湿剤を選ぶポイント

ポイント①:保水効果を重視するならヘパリン類似物質

高い保水効果を期待するなら、ヘパリン類似物質が最適。
皮膚科で処方される「ヒルドイド」で一躍有名になりました。保湿効果のほかにも抗炎症作用、血行促進作用も併せもっており、様々な皮膚疾患に広く使用されています。
現在は第二類医薬品として「ヒルマイルド」「HPローション」等様々なタイプが市販されていますね。
市販品は価格が高めなので(どれも100gで2000円前後)、大人が全身に使用するにはコスパが悪いのがネックかなと思います。

Q: ヒルドイドと市販品はどう違うの?

A: 処方薬のヒルドイドは、ヘパリン類似物質が0.3%配合されています。市販品にも処方薬と同じ量の配合が認められているため、市販品でも処方薬と同じ効果が期待できます
先発品のヒルドイドと市販品やジェネリックが違うのは、ヘパリン類似物質の構造が少し違うということと、それらの基剤が少し違うということです。

有効成分のヘパリン類似物質の濃度は一緒ですが、基剤にグリセリンが入っているとモイスチャライザーとして働き、基剤にワセリンが入っているとエモリエントとして働きます。
厳密に言うとそれぞれの使用感や保湿力が少し違います。
しかし、保湿剤としての保湿力は十分にあります
https://asuka-hifuka.com/2020/11/17/カサカサ肌のかゆみに保湿ケア🍁/


前出の保湿剤の基剤について調べてみました。(すべてローションで比較・全成分のうち添加剤を表示)

ヒルドイドローショングリセリン、セタノール、
ミリスチルアルコール、白色ワセリン、スクワラン、セトマクロゴール1000、モノステアリン酸グリセリン、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、ジイソプロパノールアミン、カルボキシビニルポリマー
ヒルマイルドローションセトステアリルアルコール、白色ワセリングリセリン、2,2′,2″‐ ニトリロトリエタノール、軽質流動パラフィン、スクワラン、ステアリン酸ポリオキシル 40、モノステアリン酸グリセリン、カルボキシビニルポリマー、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル
ピアソンHPローションカルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、1,3-ブチレングリコール、濃グリセリン、トリエタノールアミン、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル

黄色のアンダーラインが配合されている保湿系の基剤。スクワランも天然油脂から作られる保湿成分です。
全成分表示では含有量が多い順に挙げてあるので、ヒルドイドを基準に考えるとするなら
    ・ヒルマイルドはエモリエント寄り  
    ・ピアソンだとモイスチャライザー寄り
ということになるでしょうか。
その他のローションについても、パッケージ裏の全成分表示を確認することで大まかな傾向がわかると思います。成分表示の確認、オススメです!


こるり
こるり

🍀ちょっと寄り道🍀
ヒルマイルドの基剤の最初に書いてある「セトステアリルアルコール」。
これはローションの乳化安定剤として広く使われている高級脂肪族アルコールで、刺激性の少ないものとされています。とはいえ添加物の最初に書かれているということは一番多く使われている成分。安全性は確認されているけれど敏感肌の方にはパッチテストが推奨されています。
ちなみにヒルドイドの「ミリスチルアルコール」はヤシ油やパーム油などの天然植物油から抽出される高級アルコールで、皮膚刺激性も指摘されていません。
自分で紹介しておいてこういうのも気が引けますが、
      名前は「マイルド」でも油断は禁物!ですね。

ポイント②:角質軟化作用を重視するなら尿素クリーム

尿素は天然保湿因子(NMF)を構成する成分の一つで、保湿効果とともに皮膚を柔らかくする「角質溶解剥離作用」を持っています。乾燥がひどく肌のガサガサ、ザラザラが気になるようなら、尿素クリームが適しています。10%と20%のものがありますが、かかとのガサガサなど角質の気になる場合には20%のものが推奨されています。
市販薬としては ケラチナミン、ウレパールなどがあります。

ケラチナミンコーワ/ケラチナミン
ウレパールプラスローション/大鵬薬品工業
フェルゼアDX20ローション/フェルゼア

手の甲や指先、かかと、ひじ、ひざといった硬くなった皮膚には尿素が配合された保湿クリームを塗布することをおすすめします。尿素は角質細胞内にある天然保湿因子NMFを構成する成分の一種で、肌の内部に水分をキープし、皮脂のバリア機能を効果的に働かせる作用があります。https://sugamo-sengoku-hifu.jp/symptoms/dry-skin.html

ただし、20%のものは15歳未満には使用できません。皮膚が柔らかく吸収率の高い小さな子供に使用するとヒリヒリするなどの症状が出る可能性があります。炎症部位などにも刺激感があるとのことなので、傷があったりする場合は避けたほうが良さそうですね。

ポイント③:バリア機能を重視するならワセリン

ワセリンは石油を原料とした保湿剤。
精製度により区別され、低い順に「黄色ワセリン」「白色ワセリン」「プロペト」「サンホワイト」と呼ばれます。
肌の表面に油膜を貼ることで水分の蒸発を防ぐと同時に、外部の刺激から肌を守る「皮膚保護作用」も期待できます。比較的安価で刺激感もほとんどありません。
ただしそれ自体は保湿成分ではありませんので、使用前にしっかり水分を補うことが重要になります。
また保護作用が高い分ベタつきも強く、”使用後に肌着が張りつく”などが気になる場合もあります。
https://www.kusurinomadoguchi.com/column/articles/dry-skin

ベビーワセリン/健栄製薬
プロペトピュアベール/第一三共ヘルスケア
サンホワイト/日興リカ

まとめ

今回は市販で手に入る保湿剤について、その種類と役割及び一般的な選び方の基準を調べてみました。

1.保湿剤はその保湿方法によって2種類に分けられる
 ・水分を与える「モイスチャライザー」 
  例:ヒアルロン酸、セラミド、尿素、ヘパリン類似物質、水溶性コラーゲン、アミノ酸etc
 ・水分を守る「エモリエント」
  例:ワセリン、オリーブ油、ツバキ油、スクワランetc

2.主な保湿外用剤の種類と特徴について確認

3.市販の保湿剤を選ぶポイントは
 ・ポイント①:保水効果を重視するならヘパリン類似物質
    メリット ⋯高い保水効果が期待できる
    デメリット⋯100gあたり2000円前後と価格が高め
 ・ポイント②:角質軟化作用を重視するなら尿素クリーム
    メリット⋯ 肌のガサガサ、ザラザラが気になるところを柔らかくしてくれる
    デメリット⋯皮膚炎部分には刺激感が出る場合がある
 ・ポイント③:バリア機能を重視するならワセリン
    メリット ⋯水分の蒸発を防ぐと同時に、「皮膚保護作用」も期待できる
          比較的安価で刺激感もほとんどない
    デメリット⋯それ自体は保湿成分ではないため、使用前にしっかり水分を補うことが重要
          ベタつく使用感が好まれない場合がある。

こるり
こるり

🍀こるりの感想🍀
ドラッグストアや薬局には本当に様々な商品があり、ここで取り上げた保湿剤はほんの一部。今回はあまり欲張れなくて(笑)、お医者さんでもよく使われるものの基本的な知識について整理してみました。そして、ワセリンが精製度によって数種類に分けられていることを初めて知りました😳
それでも、お肌の性質は人それぞれ。やはり皮膚につけるものは「とりあえず少量を購入」し、「パッチテストをする」ことが大事なのだな、と改めて思いました。

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